2018年7月 シドニーで「HARS、歴史的航空機修復協会」を見に行く(前編)

前回の記事はこちらです。


関西空港から向かった先は...



関西空港から向かった先は、シドニー。201712月に開設したばかりのカンタス航空の路線です。エアバスA330-303が週3便就航し、夜に出発します。

時差の少ない南半球へ、一直線。約9時間のフライトののちに目が覚めたら季節が逆のオーストラリアの大地です。A330はエアバス社ワイドボディー機で一番売れている機種。エコノミークラスの標準座席の2-4-2配列が人気の一つです。窓側や内側座席でも一人に断れば通路に出ることができ、快適です。エンジンはGE製。この機体は、A330neoシリーズとして生産が続きます。





HARSという博物館



今回の旅の目的は、航空機モデル蒐集としての目線で楽しめる博物館、HARSHistorical Aircraft Restoration Society=歴史的航空機修復協会)です。この場所はその名の通り、歴史的名機を復元する施設。可能な限り飛べる状態にして保存してあります。カンタス航空で1989年にロンドン⇒シドニー間を20時間9分のノンストップで飛んだボーイング747-438型機、機体番号VH-OJA 愛称:City of Canberraが退役後に収蔵されたことでも有名になりました。


場所は



シドニー空港から南へ90キロ。ウォロンゴン郊外、アルビオンパークにあるイラワラ空港の一角にあります。シドニー空港からレンタカーを借りて1時間強で到着。赤い尾翼のジャンボジェットが見え、敷地奥の建物「Air Museum」と書かれた場所が入り口です。





受付から



Reception」は、機体の内装パネルを使っています。ボーイング707の窓に、カウンター部分はボーイング747機のフラップでできています。707は、1979年までカンタスで運航していた実機から部品を取りました。受付のその凝ったつくりに感嘆しながらボーイング7407のプレミアムツアーにウィングウォークのオプションを付けて申し込みました。





この施設は、屋内展示場、屋外展示場、格納庫にわかれています。屋内は、受付、カフェ、スーベニアショップ、映像ホールで構成されます。屋外展示場にはジャンボジェットがあり、その他の機体は格納庫にて修復・保管されています。


見学スタート



まずは建物の二階へ。今回お世話になったSteveさんから映像ホールで全体の解説があり、ジャンボジェットが博物館に来た日の様子がビデオで流されます。栄えある記念の日。多くの人の手によって機体を迎え入れたことがわかります。



ジェンボジェット見学





続いて屋外へ。ロールスロイスのエンジンRB211524Gを間近で見るのは初めて。GEやプラットアンドホイットニー社のエンジンよりスマートに見えますが、実は3つのエンジンの中で一番重量の重いのがロールスロイス。英国のエンジンメーカーなので、ワンワールド系ブリティッシュエアウェイズ、キャセイパシフィック航空とともにカンタス航空でも導入されました。




アヴォニクスの解説はRogerさん。前輪すぐ後ろのエレクトリックベイの扉を開けて梯子を引出し、中に入れてくれました。ここはジャンボの心臓部。機体の電源装置のサーキットブレーカーが集まった場所なので、いざという時は機内の最前方コンパートメント床からもアクセスすることができます。





後ろに続く前方カーゴルームも見ることができました。ここにはパレットが5枚。手荷物などを入れるLD-3のコンテナで16台搭載ができるスペースがあります。カーゴドアも油圧を作動させて開けてくれました。



機内各所へ




機内見学は、カンタス航空カスタマーサービスマネージャー経験者のMichaelさん。普段見られない部分を案内してくれるというのでついていくと、機体最後部天井部分に造られたクルーバンクへ。8人がゆったりできるスペースがありました。左舷後部の下段ベッドの横にはFDR(フライトデータレコーダー)とCVR(コックピットボイスレコーダー)の設置されている箇所もあります。最後部の壁を開けると、おわん型の圧力隔壁が見えていました。




エコノミークラス、プレミアムエコノミークラス、ビジネスクラスへと前方へ。座席は就航時のまま残されていました。





アッパーデッキを通ってコックピットへ向かいます。プレミアムエコノミーが装着されているということは、まださほど前の退役ではありません。



201538日にシドニー空港から、このイラワラ空港へカンタス航空史上最短11分の飛行で飛来しています。



次回へ続きます。


ページトップへ